想いを香りにして残す取り組み
すごく深い想いの詰まったプロジェクトに、精油の専門家として関わらせて頂くことが決まり、いろいろな思いが巡ってます。
今回のプロジェクトは精油の抽出。”かおりと-kaorito-”の核となる事業の一つなのですが、近いうちに必要になるかもという予感があり、精油の抽出装置購入を前倒し、試験抽出をしていたというのが正しいかもしれません。
思い出を香りにして残すと言うのがテーマで、切らざるを得ない庭の木とか、みんなで育てたハーブとか、田舎の柑橘とか。
そういうものを小回りのきく形で、かおりにしたいと考えて準備していた矢先のご依頼でした。
この辺のことは時期が来たらまた書こうと思います。
さて。今回のプロジェクト。いろいろな方の想いの詰まった木から精油を抽出しようというもの。
精油は細い枝や葉からも抽出できるのがメリット。
捨てるしかなかった部分から香りを抽出できるんです。もちろん樹種やハーブの種類によって無理な場合もあります。でも精油が抽出できなくても、フローラルウォーターの可能性があるんです。
今回もこんな話をしながら、まだまだ知られていないこの可能性をもっと伝えなきゃならん!と”かおりと-kaorito-”の使命を感じながら、ふと思い出したこと。
私がまだ幼稚園が小学校入りたての頃に祖父が植えてくれた梅の木。
祖父が亡くなり、私も就職し実家を離れ…知らない間に枯れて跡形もなくなっていたんです。10年以上も前の出来事なんですけどね。
小さい頃おにぎりをもって、梅林に行き、梅のあめちゃんを買ってもらった記憶。たしか、梅の木を植えてくれたのもその前後の出来事。
従兄、姉、私の3人それぞれの梅があって、従兄は小梅。姉はしだれ梅。私は大きな梅。私の梅だけ離れた場所に植えることになって、ごねる私に祖父が言ってくれたこと。
「順子の梅は一番大きくなるから、日当たりのいい特別なところに植えるんだぞ」
スコップをもって、一緒に植えたこと、夏休みには祖父母の家に泊まりに行き、水やりしたこと、初めて1個だけできた実を祖母とシロップ漬けにしたこと。
思い出しました。
香りに携わることで、すっかり忘れていた大好きだった祖父との、大切な思い出が一つ蘇りました。
取り組みもまた思い出に
精油は永遠ではない。香りはいつか消えてなくなります。
でも、精油にすることで香りの寿命は延びます。そして、こうやってたくさんの想いを込めて一緒に香りという形にして残すという取り組みそのものが、また新たな思い出となって残ってくれるといいなと思います。
10年、20年後。
別の場所で、同じ香りに触れた時、その木々と過ごした思い出と、どうにかして残そうと頑張っている”今”のことを思い出してほっこりして欲しいなと、そんな風に思うのです。
”かおりと”
香りを軸にヒト、モノ、コト、オモイを繋げたくてつけた名前。その名前の通り、進めていることに感謝します。