御役御免!

まさかのお払い箱…?!

「古山さんはもうお役御免で…」

えぇぇぇ…

いやいや。
ちょっと言葉が違っただけで、よい香りができたから以降の打ち合わせは無理してスケジュールやりくりなしで大丈夫ですよ。という意味だったんですけどね。

さて。今回、関わらせていただいたarlequin roducの”大人の一筆箋”プロジェクト。今ごろ台湾で商品のプレゼンテーションがされているハズなんです!

コトの始まりは”かおりと”のロゴやラベルをどうしようか、という話でした。

プロのデザイナーさんに頼むのも良いけれど、ともに成長するという意味ではデザインを勉強している学生さんに、コンペ形式で依頼するのも面白いんじゃないかと思い立ち、紹介していただいたのが専門学校の講師も務めるarlquin productの南さんでした。

学生さんに依頼する、という話はブランド立ち上げのタイミングとあわず、話が流れたのですが、私がどんなことをしたいかを南さんにプレゼンしている時に生まれたのが”かおりと”初のご依頼案件だったのです。

気持ちを表す香り作り

「”ありがとう”とか”ごめんなさい”の香りがあったらおもしろそうだな」
と南さんがつぶやき、難しいけど面白そうですねーなんて軽いノリでお話したのを覚えています。

でも南さんの中では、軽いノリではなかったようで、後日連絡があり、3人でやりましょう、と紹介して下さったのがグラフィックデザイナーでありカリグラフィ作家、framermeの芳木さん。

デザイナーさん二人相手に香りのデザインを提案するのは緊張するかと思いきや、二人とも相当な香り好きで話が弾み、毎回楽しく打合せをさせて頂きました。

テーマとなる言葉があり、それをイメージする色選び。
この色をデザインの共通認識とし、香りの提案を。

言葉や色を香りで表現するのは初めてだったけど、モノとか空間とか思いを香りにするのは今までもやってきたこと。そして初めて体験したのは、この香りをもとに物のデザインが決まっていくというプロセス。

目に見えない、私がブレンドした香りが、目に見える形になっていくワクワク感って半端ない!

デザインが可視化されてくると、香りの修正もよりどころがあるのでイメージしやすく、逆にデザインも香りというよりどころがあるからイメージ作りの役に立ったと言っていただき、このプロジェクトをかおりとブランドの香りリリース前にできたことは、素晴らしい財産になりました。

いろいろ書きたいんだけれど、文字にすると陳腐になりそうで(これも今回のテーマの一つ)、でも3人で作り上げてきたプロセスを何かの形で残したくて、ラジオにすることに決めました。

南さん、芳木さんをゲストにお迎えして、ラヘラジであれこれお話しようと思います。

「自分のブランドでは本当に作りたいものをやる」そうおっしゃった南さん。

本当はやりたいことがあるの・・・で始まるラヘラジにぴったりです!

三人の想いが詰まった一筆箋の日本国内リリースは5月ごろの予定です。お楽しみに!

迷走。苦戦。そして完成した香り”凛と、燦と”

#0310 凛と燦と-rintosanto-

かおりと-kaorito-は日本国内に自生・栽培している植物から抽出した精油や、古くから日本に根付いている香りを使い、メッセージ性のあるオリジナルブレンド精油を展開していきます。

構想順に番号をつけているのですが、今日は#0310凛と燦と-rintosanto-のご紹介。

数字4つのうち前2つが構想順を示し、後ろの2つが調香の回数を示しています。

この香りは3番目の構想ではあるけれど、一番最初に調香に取り掛かった香り。そしてすっごい苦戦した香りでもありました。

海外の精油は、ブレンドするとどんな香になるか経験値が多いのでわかるのですが、日本の精油はまだまだ未知の世界で、単体では甘さの強い柑橘系の精油も他のものと併せると酸味のある香りが勝ってしまうなど意外なことがたくさん起こりました。

そして、できた!と思っても1週間寝かせると香りが変わってしまう。調香の難しさと、面白さを学ばせてくれた香りでもありました。

実は10回調整する中で、香りのイメージの大きな方向転換もしました。何度も何度も。私のプライドをかけて。香りへの愛を込めて。

出来上がった香りは、ユズやホウショウの優しくも澄み渡った香りから、ヒバのどっしりした香りへ移り行くものになりました。

真剣な気持ちを大切にする香り

本当はプライドという名前の予定でした。

「あなたへの愛こそが私のプライド」

今井美樹さんの歌に出てくる歌詞ですが、”あなた”って人のことだけじゃなく、仕事だったり趣味だったり、もちろん愛する人だったりに置き換えても心に響くフレーズで、この香りのイメージにもピッタリだったんです。

本気であればあるほど、切なかったり、悔しかったり、逃げ出したくなったり。涙が出たり。

それでも、好きだからあきらめきれず、また正面から向き合ってとことんやっていく。好きだから、本気だから、投げ出したいのに、それすらできない。

そんな気持ちを受け入れて、前を向いて進んでいく強さや潔さを支える香り。

昔の私は、”本当に好きなことと向き合って苦しい思いをしたくない”といろいろなことから逃げていました。

自分の気持ちからも。

本当にたどり着きたいステージからも。

それでも、手放した方が楽だと分かっていても諦められない感情もあって、それはとてもつらいことなんだけれど、時とともに、何かにそれほどの想いを持てることって幸せなのかもしれないと、思うようになりました。

そして、それほどの想いがあるのだから、その気持ちに嘘をつかずとことん好きでいよう、それだけ本気になれる自分の気持ちを大切にしようとさえ思うのです。

苦しくても辛くても。

周りから何を言われても。

バカだと思われても。

本当に大切こと、もの、ひとへの気持ちを諦めない。

そんな感情を応援したくて、”凛と、燦と”は生まれました。

ゆるぎない愛をもって何かに向かっている人は”凛”としている。
ゆるぎない愛をもってなにかを貫き通している人は”燦”としている。

あなたは、凛と、燦と。澄みわたり輝いている。
時に打ちのめされそうになっても、また心を落ち着け、大切なものへの愛を紡いでゆく。

2018年3月 かおりと-kaorito- #0310 凛と燦と-rintosanto-

かおりと-kaorito-のロゴのこと

かおりと-kaorito-のロゴができるまで

自分の活動のロゴを作るのは、かおりとで3つ目。

ラヘラの時は、独立前に勤めていた会社のお客様に印刷会社所属のデザイナーさんを紹介していただき、あっという間にロゴ決定。

これね、お花のように見える部分がlahellaの文字になってるんです。近くにという意味を表現し、ずっと繋がっていくようにって。

ラヘラジも、私のことを良く知る人が「こんな感じ?」と作ったロゴを送ってきてくれました。

ラヘラのラジオ。ラヘラが歩んできた路。ラヘラジの名前を、ロゴだけでわかるようにしてくれました。ヒトメボレです。

どっちもトントンと決まったのですが、かおりとは長かった。

まず誰にお願いするか、がなかなか決まらず。初めてのモノ作り。ロゴで買うか買わないかも決まるかもしれない、と思うと、慎重になりすぎて、どうしていいかわからなくなってしまいました。

そんな時、泣きついた先がかおりとの撮影をお願いする予定のカメラマンさんで、紹介してくださったのが、エミエの大脇さん。

丁寧なヒアリング。まず精油について勉強しますとおっしゃるのでラヘラのスクールのテキストをお渡ししました。

しばらくたち、まだかと催促する私に返ってきた言葉は…

「ブランドの要となる部分ですので雑な考えで作れませんのでもう少しお時間頂けると有り難いです。」

この言葉を見た時、絶対間違いない提案をしてくださる、と確信しました。

良すぎて選べない

かおりとのコンセプトをいろんな角度から表現してくださった表情の異なるロゴたち。

提案のPDFを開いた瞬間、にやけましたよ。予想以上だ。

「めっちゃいいねん。」と夫に何度言っただろう。どれもステキすぎて一つに絞るのがもったいない。

でも、ブランドの顔は一つに決めなきゃならない。

最終2つまで絞り込み、悩みに悩み、そのロゴに込めた想いを大脇さんに伺い、そこからもさらに悩んで、最後は第一印象で気に入った方に決めました。

かおりとで私が一番やりたいことを表現してくださったロゴ。

お披露目は…もうちょっと先。しばらく一人でニヤニヤロゴを眺めます。
このロゴからいろいろなものが展開されていくのがすごく楽しみ。

この名前だけ入れたラベルももうしばらくしたら卒業ね。

にしても、時系列でやるべきことをリストアップしてみたら、時間足りるんやろか…というボリューム。
関わってくださるたくさんの方の力を借りて、7月のリリースを迎えられるよう頑張ります。

香木の聖地”枯木神社”

何もない?!いやあるって!

少し前、淡路島産のエッセンシャルオイルブランドsuu(スー)にラヘラジの取材で伺った帰りに、枯木神社に寄りました。

枯木神社。

ちょっと哀愁漂う名前ですね。さらに写真が雨の中撮影したものなのでさらに哀愁が…(^^

でもここは香木の聖地ともいえる場所。日本書紀に登場する香木伝来の伝説が伝わる神社で、一度ちゃんとお参りしたいなと思っていた場所なんです。

道路を走っていると突然そこに現れる枯木神社。無人で駐車場もないし、鳥居と社があるだけの場所。

淡路島観光ガイドによると・・・

香木が初めて登場するのは日本書紀。推古天皇3年(595年)夏4月、沈水淡路島に漂えり・・・と記されています。推古天皇の時代に、この海岸に流れ着いた木片を何気なく住民が燃やしたところ、芳しい香りが漂ったので、慌てて火の中から引き上げ皇室に献上したと言われています。法隆寺の観音像はこの香木から彫り出されたものだと伝えられています。

香木(沈香木)は今も大切に、枯木神社のご神体として祀られています。

一見、なにもなーい!とがっかりしそうになりますが、ここにはちゃんと香木が祀られているんですよ。

でもさ、無人の場所にそんな歴史のある香木を置いといて良いんだろうか…

それはさておき、春の冷たい雨が降る日でしたが、手をあわせ、かおりと-kaorito-がうまくいくようにお祈りをしました。

ここにいくぞ!と決意していくような場所ではないかもしれませんが、香りにまつわる仕事をしている方は、なにかのついでに寄ってみてください♪

 

待ちに待った精油の試験抽出

ドライハーブから精油抽出できるのか?!

2月の頭に届いた、精油を抽出するための水蒸気蒸留装置。

予定していた材の入手が季節的に難しくちょっと放置していたのですが、先日思い立ってドライハーブを使って試験的に装置を稼働させてみました。

今回使用したのは、業務用スパイスとしてキロ単位で販売されているレモングラス。

袋を開けるとそれだけでよい香りがふわっと漂います。

でも、フレッシュハーブや精油とはちょっと違い、草っぽい香り。個人的にはこの香りも好きだけど、精油抽出は大丈夫かしら…と不安がよぎる。

採油量の目安に試験抽出に使われるドライハーブってラベンダーやローズマリーが多く、何社かの装置メーカーのデータを見てもドライのレモングラスって載ってないんですよね。

それならなぜレモングラスを選んだんだ?って話ですけど、好きなんです。レモングラスの香りが。笑

驚きの抽出結果

まぁ精油が無理でも芳香蒸留水は採れるだろう、と気軽に抽出スタート。

加熱開始から15分。突然ふわっと香りがしたと思ったら、見る見るうちに家中よい香りに包まれていきます。それだけでも幸せな気分になっちゃいます。

  • ドライレモングラス 500g
  • 加水3.3L(ドライハーブの為ちょっと多めに)

蒸留して出てきた蒸留水0.8L 、加熱開始から1時間経過で過熱をストップし、精油だけを分離したところ、10ml位の精油がちゃーんと抽出できました。

採油率2%。なかなか優秀♪

その後さらに加水して30分蒸留してみましたが、精油は採れず。

やっぱり装置の説明書に1時間って書いてあるのは正しいのね。

抽出した精油とフローラルウォーターはまだ草っぽい香りが残っていて、決してかぐわしいとは言えないのだけど、これを1週間程度寝かして香りが落ち着くとよい香りになるはず!

これからもしばらく蒸留熱がおさまりそうにありません。