大分にオープンした六月八日の和精油ショップへ
待ち合わせの日、大分県の中津駅まで迎えに来ていただき、ランチをごちそうになった後しばらく車を走らせ到着した、日本の精油ブランド六月八日の事務所(ご自宅の一角)とその敷地内にある直営店のショップ。
まずは、オープンしたばかりという直営店の中へ。
古くて懐かしい感じのする建物の中は、優しい樹の香りが漂っていました。キャンドルが揺れるアロマポットで炊かれているのは、六月八日の精油。歴史を感じる木のぬくもりのある建物のなかにそっと漂うからこそ、その香りの価値がさらに増すのだなと思える空間に、思わず出た言葉が「私、ここに住みたいです!」笑。
素敵な空間と香りにますますテンションが上がった状態の私ですが、きちんと取材をしなければなりません。
ショップを後にし、いよいよ事務所へ。
建物のどこを見ても、丁寧に建てられ、丁寧に使われてきたことがわかります。それもそのはず。六月八日の事務所兼精油抽出工場兼お住まいでもあるこの建物、重要文化財に指定されているんですって!
さて。
社名からもわかる通り、六月八日という日本の精油ブランドをプロデュースしているのは、林業を営む会社です。最近は六次産業化の流れから、林業家が精油作りをするパターンも増えています。でも、そのタイミングやきっかけは各社様々。
社長(写真左)曰く、「日本の農村地帯でできているもの(農作物、材木など)は良いものなのは間違いないが、それを世代を超えて伝えていくことができていないことが課題。」
久恒山林株式会社もその例外ではありませんでした。
リーマンショックと和精油
時はリーマンショックのころ。
それまでは林業オンリーでやっていたが、スギ・ヒノキが国内で使われず、林業をやる意味がなくなってしまいました。やればやるほど赤字。補助金を使っても赤字。なにか他の策を考えなければといろいろ取り組みをされました。
例えば、山の木々を木材として出すために機械を入れて大型化する取り組み。
それでも山には出荷できないものが50%ぐらい残ってしまいます。それを、木工作品にしたり、バイオマス燃料にしたり、精油にしたり。そういう取り組みの結果残っているのがアロマ事業なのです。
アロマセラピーとの出会いは、九重町の森林セラピーの記事。
スギ・ヒノキから精油が抽出できると知り、アロマセラピーは未知の世界だったので体験に行ったのがきっかけとなり、7年前に独自に精油の抽出をスタート。その後、産官学の補助金を受けるようになり、本格的にアロマ事業が始まりました。
家族で手仕事。愛情たっぷりの和精油
六月八日の精油作りは、母屋の台所で行われます。
台所といっても、普通の家のキッチンを想像することなかれ!
ここの台所は昔かまどがあったような広い場所。今は板張りになっていますが、その一角に10リットルの小さな窯を置くことからスタートしました。
今では40リットルのオリジナルにカスタマイズした窯を備え精油の抽出をしています。水蒸気蒸留に使用する水は浄水器を何度も通したきれいな水を使います。
蒸留するのは山から切り出した樹々。
今までは山に放置してしまっていたような物を大切に使っておられるそう。精油成分は切ったそばから揮発していくので、蒸留所の裏に置いているチッパーでチップにしたものを即蒸留しているのだとか。
これだけのスピード感で精油を作ることができるのは、自社の山の恵みを活用している強みですね。
そして、六月八日が特にこだわっているのが、トレーサビリティ。どこの山の何年生の木を蒸留したかをすべてWEB上で検索可能な状態にしています。ただし、ただ香りを楽しみたいお客様もおられるので、知りたい方が検索して全て閲覧できるようWEB上で仕組みを作っています。
専務の千容子さん曰く、「こういう情報をあまり強く押し出しすぎるといやらしくなるでしょう?でも、知りたい方には正しく伝わるようにしていかなかればならないと考えているんです。これからは、HPにも現場の声や様子をもっともっと反映したものにしていきたいです。」
お話される声のトーンやテンポも含め、私たちの命の源である山の恵みをいとおしく思い、そこから抽出される精油を愛していることが伝わってきます。
でも、六月八日は”精油だけ”を売りたいのではないのかもしれません。
「日本の林業が持続可能な取り組みになるように、山で樹々を育て、それを出荷するプロセスの中で生じるすべての恵みを、無駄なく活用していくための取り組みの一環がアロマ。」と社長がお話してくださったのですが、持続可能というのは、”林業が”ではないとおっしゃるのです。
林業家でありながら、林業を持続可能にしたいのではない、と語る社長。
その真意は…ラジオ放送で。
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精油抽出工場の見学に伺った和精油メーカー
六月八日(久恒山林株式会社)
871-0027
大分県中津市大字上宮永3番地1
TEL:0979-22-7944 / FAX:0979-22-2822
http://rokugatsuyohkanomori.jp/
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