希少!桜のフローラルウォーター

棚ぼたの桜

ご縁はつながるもので、昨年の夏に間伐体験でご縁を頂いた篠山のT氏のところに行ってきました。

T氏は山のプロフェッショナルなのですが、神戸にある小野八幡神社の移築に伴う御神木プロジェクトにもかかわっておられます。

私も”かおりと-kaorito-”立ち上げに伴い、精油の蒸留を手掛けることになった関係で(自分で蒸留するっていうのは当初の計画ではなかったのですが…)御神木のクスノキから精油を抽出できないかと相談を受け、関わることになったのです。

蒸留に使うクスノキの枝葉。そのままでは蒸留ができないため、T氏にチップにして頂くことになり、何度かやりとりをしている中で、「桜、蒸留しませんか?」とお話を頂いたのです。

桜には”クマリン”というよい香りの成分が含まれています。桜餅の香りと言えばわかるかな。

通常桜は伐採しませんが、大人の事情により蕾がついた枝を落とさなければならないこともあり、よい香りのする蕾月の枝を活用できないかとのこと。クマリンを抽出できればよいのですが、水蒸気蒸留法では難しいため、サクラの精油はどこにも存在しません。

最近はいろいろな蒸留技術が進んでいるので、花を低温の真空装置に入れ水溶性の成分を取り出しているメーカはあるんですけどね。そんな高価な装置、うちにはありません。

でも、桜。やりたいじゃないですか。

桜とご対面!

「これが桜です」

と案内された先には、ドラム缶よりも大きい袋が何個も積まれた場所。えぇ!!!スケールでかすぎません?

「あと2,3日もすれば発酵が始まって、カブトムシに分解をしてもらって土壌改良剤になるだけなんです」とT氏。袋を開けるとクマリンのよい香りがふわわ~っ。むせ借るほど濃厚な香りに、この香りは閉じ込めたい!と血が騒ぎ、実験的にフローラルウォーター作りを決意。クスノキと一緒に持ち帰り蒸留となりました。

それぞれ10キロくらい、と言っていたクスノキとサクラ。気づけばそれぞれ20キロくらいのチップを車に積んでくださっていました。かおりとの蒸留装置は1回あたりマックス1.5キロの材しか入りません。

今回はクスノキ優先なので桜をどれだけ蒸留できるか…。2,3日後には発酵が始まるってことはそれまでが勝負?あえて、発酵してからも蒸留してみるか。そんなことを考えていると、再び、「桜持って帰る?」とT氏。

ん?桜、積んだぞと思っていたら、見事な花付き枝をポンとくださいました。

「花泥棒みたいやな…」と二人で笑いながら、大きな枝も車に積み込み帰路へ。なんと篠山滞在たったの30分。だって早く帰って蒸留したいんだもの。

早速蒸留すると、一面に立ち込める濃厚な香り。本当は外に香りを漏らさず閉じ込めないとダメなのですが…これはすごい!

精油成分は一切浮いてきませんでしたが、ウォーターのポテンシャルは相当のもの。蒸留したて、1日後、2日後と香りを確認すると、日を追うごとに青臭さが抜け、優しい香りに変化します。むせかえるような濃厚さも和らぎ、本当に奥ゆかしい香り。

2日目以降は日常の仕事とクスノキの精油抽出に追われていたため、しばし桜はお休み。その間に我が家に鎮座した桜の枝は満開に!

すると…T氏の言う通り、材の発酵が進んできました。木部だけではなく、花や蕾が一緒にチップにされているから発酵が早いんですよね。ちょっと調べると桜の花はお酒の酵母が作れるくらいのパワーを持っているのだとか。

香りも弱くなり…3日目の蒸留は少し香りが弱いもののOK。4日目の夕方、かなり香りの薄くなった材を蒸留してみましたが、NG。材を使いきれなかったのは残念ですが、来年に向けてこの桜のウォーターを何に使うか、どう展開するかT氏とともに考えたいと思います。

可能性は無限大!

1週間後、1か月後、香りがどうなるかも要チェックです。