koyama junko’s work

和精油を通じて考えさせられたこと/六月八日(久恒山林株式会社/大分県中津市)

2018年5月30日和精油めぐり

和精油をきっかけに自然な暮らし方について考える

「”天然自然の山=手つかずの自然”、という考え方もあるのかもしれないけれど…」と切り出した久恒社長(写真左)。

その言葉の通り、山には介入せず自然のまま残し、人は下流で暮らすというのはありかもしれません。

狭い範囲で考えれば。

「でも、よく考えてみると、自分の近くの森だけを天然自然の形で守り、地球上の他のエリアから持ってくるのは間違っているのではないでしょうか。」そうつなげた久恒社長の言葉には、山間地域で林業に携わり暮らしてきたからこそ生まれた葛藤を感じました。

心で山と切り離されて暮らしていたら、それが数十キロ離れた日本の山の木なのか、地球の裏側の山の木なのか、なんて意識は向かないことの方が多いと思います。

例えば、我が家は木造ですが、柱になっている木、壁になっている木の板、どこの国のなんという木なのか知りません。今なら建てる前にいろいろ話を聞いただろうけど、当時の私はそんなこと、気にもしていませんでした。壁の板だって木じゃなくて石膏ボードだったりもするわけですから。

ところが、そんなことに無頓着な都会の住民だって、現実的に考えると、木の家に住むほうが精神的にも身体的にも健康に暮らせるんです。

DNAレベルで知っている森の香りの心地よさ

私たちのご先祖様は二足歩行になる前から、山の木々に囲まれて暮らしていて、植物の香り成分やその他の成分が、自律神経を休め人を含む動物を元気に健康にしてくれることはわかっています。

昔の家は生活圏の範囲で得られる針葉樹・広葉樹・草・竹・土が使われていて、家が生活圏の中の自然そのものでした。その環境の中で、自然の一部として生活していたことの延長が数十年前の日本にはありました。

それが、バッサリ切り離され、工業製品に囲まれた家になってしまった今、自律神経のバランスが崩れている人が多いのは必然なのかもしれません。

私たちが健康に過ごすために必要なフィトンチッドは生きている樹々が出している成分です。木は切られてからもある意味生きていて、水分を吸収したり吐き出したりします。同時に木が持つ成分を少しずつ私たちに分けてくれているんだと思います。それは香り成分だけではないけれど人が生きる力を取り戻すために必要なものなのです。

何十年経っていても、椋木の家やお寺って気持ちいいですもんね。

では木の家を建てよう、となった時、その木をどこから持ってくるのか、が大きな課題になります。

今、日本の山には杉や檜が建材となるべくしてたくさん植えられていて切り出されることもなくそこにあるというのに、現代社会では約8割が海外から持ってこられているそうです。

安価な材を確保するために、アジア・アマゾンの森が切られ消失している事実。

そして、その後地はコーヒー畑、大豆畑になっているという現実は問題。

木を使う以上は自分が使う量と自然の中から得られる量のバランスがとれるような、人と自然の共生を模索せねばならない、と久恒社長は何度もおっしゃられていました。

山にスギやヒノキをどんどん植えて、成長を促進してとことん使い尽くすという今までの林業の在り方が正解だったかというとそうでもありません。スギだけが密集、ヒノキだけが密集している森は不自然で、人類と自然が共生している姿ではないのです。

森の生態系を考えた和精油作り

六月八日の森の写真を見ると、間伐が行き届き、下層植生が豊かになって、スギやヒノキ以外の植物も豊かに茂っていて、動物の姿は写っていないけれど、茂みに潜んでいる気配を感じます。スギやヒノキもほかの植物と競争する刺激、動物や虫の刺激を受けてより良い木に育つそうです。

生態系が豊か(いろんな樹種、いろんな生き物がいること)で、水源かん養機能があって、森林が持つ公益的機能を発揮する森が数十年そこにあって、そこから切り出される木を使うこと、そしてまた新たな木がそこに育つという循環があって初めて人類と自然が共生していると言えると久恒社長はおっしゃられていました。

林業の持続可能性ではなく人類と森との関係の持続可能性を求めているからこそ、頭を悩ませ考え、いろいろな切り口から考え、模索を続けてこられた久恒社長。

そんな中で可能性を見出したのが精油という新たな手段だったのでしょう。

だから、六月八日は精油を売るだけではなく、森を近くに感じる暮らしを提案しているんだと思います。

一筆箋に込められた四季折々の山の姿。樹木が材料になっている布に六月八日の森の植物が描かれたファブリックアイテム。

ただ精油を作って売って終わり、ではない六月八日の取り組みに私も何かしなければ、と突き動かされた訪問でした。

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工場見学で訪問した和精油メーカー

六月八日(久恒山林株式会社)
871-0027
大分県中津市大字上宮永3番地1
TEL:0979-22-7944 / FAX:0979-22-2822
HP:http://rokugatsuyohkanomori.jp/

久恒山林株式会社の皆さんは2018年2月7日、14日のラヘラジに登場してくださいました。

≫久恒山林株式会社の放送音源を聞く

和精油めぐり

Posted by Koyama Junko